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環境ヘの取り組み

環境リスクのより少ない建物づくり

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文化会館「葵丘」

所在地:愛知県岡崎市
建築概要: 敷地面積 1,754㎡ 建築面積: 604㎡
延べ床面積: 2,248㎡  構造・階数: RC造・地上5階

建築コンセプト

人類数万年の歴史の中で、ここ100年の間に私達は、鉱物的エネルギー源の枯渇、大気・水の 汚染、そして自然破壊をリミットの状態まで進めてしまいました。これからは、環境負荷の少ない 建物づくりを考えていかなければなりません。

床材の環境負荷の比較

環境負荷を考えるとき次の3つの要素があります。

1) 製造時における負荷
2) 使用時における負荷
3) 廃棄処分時における負荷

この3つの要素において環境リスクを少なくすることが課題であり、床材の場合、天然リノリウムのような材料があります。石油系素材と天然リノリウムの比較をしたのが下図です。

文化会館「葵丘」と地球環境との対話

建設業界では今、地球環境に対する配慮が大きなテーマとして浮上しています。建築材料の再利用や省エネ対策等々、人と自然環境に対してどれだけリスクの少ない建築物を提供できるか。私たちは将来に向けて、この使命に常に挑戦していかなければなりません。

その解決策のひとつの提案として、私たちは平成8年4月、環境リスク低減の可能性を大いに盛り込んだ施設、文化会館「葵丘」を完成させました。文化会館「葵丘」の最大の特徴は、「パッシブ(受動的)ソーラーシステムを採用し、太陽の光、水、風など、自然エネルギーのロスが少ないローテックを積極的に取り入れた点です。

この地(愛知県岡崎市)の太陽高度(冬32度・夏78度)を調べ、周囲の遮蔽物を確認して建築に取りかかりました。直射日光の利用のみならず、蓄熱体を設け、冬は輻射放熱を、夏は蓄冷によって昼間の冷却に利用。また、窓面には高気密二重ガラスと、通気性のよい移動式ハニカムスクリーンを採用することで、窓面が影響する熱エネルギーロスを最大限にカット。このような工夫を随所に設置しました。

そして内装材では、廃棄後に汚染源となる石油系材料ではなく、後から土に帰すことのできる天然素材をほぼ全館に使用。例えば床材には、成長が早く枯渇しにくいサイザル麻の天然リノニウムを採用し、健康面や環境面に優しい安全な空間を実現しています。さらにベランダや屋外の床には、透水性自然石を使い、雨水を地下に貯蔵できる仕組みに。その水を散水等で再利用できるようにしました。このように自然の恩恵をたっぷり取り入れ、人と環境への負荷を極力低減させた、小原建設のエコロジー・リサイクル建築。

未来への提言がここに集約されています。

床材の環境負荷の比較図
環境負荷の要素 塩化ビニールクッションフロア 天然リノリウム
1.製造時に置ける負荷 汚染源の流出 コルク、亜麻仁油、木片等を使用
2.使用時における負荷 安価で割れにくい。加工しやすい 半永久的な抗菌作用
3.廃棄処分時における負荷 化学性ガスの発生 土に返すことができる

文化会館「葵丘」の計画手順とソーラーシステム

ソーラーシステム

ソーラーシステムとは?

環境への建築的対処として、第一にはパッシブソーラー型とアクティブソーラー型建築があります。「パッシブ」は受動態型という意味で、太陽光線などの自然エネルギーをローテックにおいて利用することです。その反対に「アクティブ」は、同じように自然エネルギーを使いますが、それをハイテックなエネルギー交換により利用します。

パッシブソーラーシステム

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葵丘の「アクティブ」な設備である太陽光発電システム(ソーラーパネル)

パッシブソーラーシステムは計画段階から考慮しなければできません。敷地に対するレイアウトを 考える際に、この地の太陽高度(冬32度・夏78度)を調べ、東西南北の遮蔽物の確認をします。

南面が最大エネルギー源であるので、建物の最大面を南に設置し、南北の屋のレイアウトを短く風 の抜けるプランにしました。夏暑く、冬寒いことを一つの建物で対応しなければならないので、建物全体を外気に対し断熱します(外断熱)。東・西・北では外気に対し左右されにくくなり、南面からの太陽光のコントロールにより効率を図ることができます。

軸射熱を最大限有効に利用

05南開口部は、照明効果として、また、冬の光熱の取入れに有効なため、1階ホールは吹き抜けにし、2倍の開口面積を確保していま す。また直射日光のみの利用ではなく、畜熱体を設け、冬季は夜間輻射放熱をし、夏は蓄冷により 昼の冷却に利用します。

熱エネルギーロスの4割と考えられる窓面を、高気密性二重ガラスを使用することで、50%以上の節約ができ、それに加え、Low−Eガラス(放射・発散性が低)は、室内からの輻射熱を反射する構造になっており、熱を逃しません。あわせて、初の試みであるハニカムス クリーンの上下移動タイプの開発により、夏の窓面下部の遮光を可能にし、雪見窓とは逆に上下の 視界を遮らずに光線をカットします。

この輻射熱を最大限効率的に利用することが、今回のポイン トになっています。もちろん対流型(空調機)と違いますので、呼吸器への負担を軽減します。

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